リードの育て方は人それぞれですが、高校生の時に購入した『クラリネット・サキソフォンのためのシングルリード調整法』を読んでからリードについて困ること(本番用リードがない!等)は無くなりました。
リードを購入してから本番用に仕上げるまでのスケジュール、削り方などが125ページに渡って細かく細かく書かれています。絶版ですが、図書館に所蔵があったり、近隣図書館からの取り寄せが可能なのでご紹介します。
概要
傳田文夫 著『クラリネット・サキソフォンのためのシングルリード調整法』(現代芸術社)
定価1,500円
この本、残念ながら絶版です。この記事で紹介するにあたって中古在庫があるかオンライン書店を見ましたが取り扱いがないです。あっても、高騰しています。アマゾンもそうです。
読むためには図書館がいいです。レアな本なのでご自身の近くの図書館にはないかもしれませんが、近隣市町村の図書館からの取り寄せ対応もしてくれるので諦めずに聞いてみるのが良いです。あとは音楽大学の図書館も一般市民に貸し出すところがあります。
目次
第1章 リードの知識
1節 リードの雑学
2節 新しいリードの調整法
3節 気に入ったリードに執着しない
第2章 調整法
1節 リードの判定
2節 リードの変形
3節 リードの特徴とカット
第3章 リードの症状別診断と道具
1節 リードの症状別診断
2節 道具の使い方と処置
第4章 その他の注意事項
読んで良かったところ
この本の中で最も役に立ったのは、第1章第2節のp29~p34「新しいリードの慣らし方・一か月間の手入れ」を解説したページです。
そもそも「育てる」って?
よく「リードを育てる」といいます。もう少し詳しく書けば以下だと考えています。
これが「育てる」だと思います。
じゃあ「調整」はどうやったらいいのか。その方法が、明確に具体的にこの本には書かれています。それまで闇雲に取り組んでいたことが、すっきりしました。
この本で書かれている「新しいリードの慣らし方・一か月間の手入れ」を、ごくごく簡単にお伝えします。
新しいリードの慣らし方・一か月間の手入れ
【第1日目】
新しいリードを開封したら、唾液で湿らせて10秒~30秒間ずつ、全部のリードを吹きます。大きな音は出してはいけません。軽くリードの特徴をみるだけで一日目の作業は終了です。
【第2日目】
リードを休ませます。基本的に連日は吹かないです。4日目、6日目……も休ませる日です。
【第3日目】
一日目と同じ作業をします。
【第5日目】
一日目と同じ作業をします。
【1週間目】
リード先端の湿り具合をみながら少しずつ吹く時間を長くしてもいいです。しかし吹く時間は10分を超えないよう心がけます。
【1週間目~2週間目】
1週間目と同じです。我慢です。
【2週間目】
次第に吹く時間を延ばせます。ただし30分以内にとどめましょう。最初の頃はリードの状態は安定しませんが、2週間目までくると使用不能(ハズレ)のリードがどれかも分かってきます。
【1か月目】
この頃になってくると使用できるリードが数枚になっていると思います。比較的安心して使えるリードになっています。
……以上のようなスケジュールでリードを良い状態にし、それが長続きするように調整していきます。かなり詳細省いているのはご了承ください。
道具
上記の一か月間の手入れ方法に加えて、吹きにくいリードに積極的に手を加えて吹きやすくする方法も紹介されています。その手の加え方の1つ、「削る」方法で使用するのはこんな道具たちです。
4mm以上の厚みのガラス板
リードを削る際は平らな板に乗せて行います。その台として、ある程度厚みがあるガラス板が使えます。ガラスが入手しずらい場合は、リード全面がすっぽり収まる広さのある鏡(100均で売っているような折りたたみ式)も可と書いています。
耐水ペーパー
研磨用のざらざらした耐水ペーパーです。サンドペーパーのようなものです。表面の粗さは600番や400番あたりが目安です。
ガラス、耐水ペーパー以外にもリードカッター、ナイフの説明があります。個人的にはガラスと耐水ペーパーだけで充分です。
あまり役に立たなかったところ
この本の後半は、症状別の調整法が細かく書かれています。症状というのは「音がつまる」「音が悪い」「音程が悪い」等の症状で、その場合はリードのどこそこを少し削るといったアドバイスです。
私の場合、不器用なので細かい調整できません。というより、「新しいリードの慣らし方・一か月間の手入れ」を守れば、かなり調子の良いリードに出来上がっているので、あまり必要性も感じません。吹きにくいリードをダメもとで削るくらいです。
まとめ
リードの育て方は、プレイヤー一人一人の流儀があると思います。『シングルリード調整法』が唯一無二の調整法ではなく、それぞれに合ったやり方が一番です。
ただ、新品リードを開封してからなんとなく吹いていてリードの状態が安定しないという方は、本やプロの先生のやり方を一つ選んで実行してみるのをオススメします。やってみて、あんまりであれば他の方法、良さそうであれば続けてみるとどんどん使えるリードが増えていきます。