iPadなどのタブレット端末で楽譜が見れるようになり、その便利さから紙の楽譜ではなくPDFで見るようになった人も多いです。まだまだ紙が主流とはいえ、だんだんとタブレットで楽譜を見る人が周りで見かけるようになっています。
楽譜をタブレットで見ることと従来の紙楽譜のメリット・デメリットを3項目から考察します。
1.軽さ
紙の楽譜は1曲1曲は軽いですが、曲数が多い演奏会の譜面ファイルはパンパンに膨れ重いです。試しに楽譜枚数が多いオーケストラの定期演奏会用の楽譜をいれている楽譜ファイルの重さを測ると850gでした。
タブレットは曲数がどれだけ多くても重さもちろん変わりません。タブレットの重さはiPad Pro 12.9インチ(2021年現在iPadで最も重い機種)で682gです。楽譜専用(楽譜リーダー)で高機能、A4サイズが見開き2つ並ぶことができるGVIDO(グイド)の重さは660gです。
紙の楽譜は1曲だけならとても軽いですが、吹奏楽やオーケストラの定期演奏会、そしてパート譜だけでなくスコアも見るとなれば1kgを超えます。
どれだけ楽譜を増やしても重さが変わらない、そして高機能で見やすい大きさの画面のタブレットでも600g~700gであるということで……
軽さ勝負はタブレットの勝利!
2.書き込み
曲の練習で注意事項や、ブレス位置などを楽譜に書き込みます。書き込みの自由度を紙楽譜とタブレットを比べてみます。
紙楽譜 | タブレット | |
筆記具の種類 | どんなペンでも書ける | 専用ペンが好ましい。 ただしペンがなくても指でも書ける |
書いたものを消す | 鉛筆や消えるペンで書けば消せる | 簡単に消せる |
判断が難しいですが……
書き込み勝負は引き分け!
3.めくり
楽譜が1枚以上ある場合、ページをめくる必要があります。
紙楽譜 | タブレット | ||
譜面1ページ | 譜面2ページ見開き | ||
スムーズさ | 〇 | × | 〇 |
正確さ | 〇 | × | △ |
融通 | ◎ | × | × |
紙の楽譜については、1枚めくるところを2枚めくってしまう……もありますが、基本的には素早く間違えずにページをめくれます。そして何より融通が利きます。見開き2ページではなく3ページ分を譜面台に置くこともできますし、切り貼りして自分用にカスタマイズもできます。
一方のタブレットは譜面が1ページ分しか表示できない場合(iPadや一般的なタブレット)、めくりにくいです。なぜなら譜面台の上には見開きで楽譜2ページ分を置くことができ、これを前提に楽譜のレイアウトも作られることが多いです。1ページ分しか表示できない場合、めくる(スワイプやタップ)回数も増えますし、めくるタイミングで休符が配置されていないことも。
タブレットでも楽譜専用として作られている楽譜リーダーなら見開き2枚を表示することができます。1ページしか表示できないタブレットのデメリットは解消しています。
特にGVIDOは2ページ見開き以外にも素晴らしい作りになっています。めくるためのボタンが数カ所についていて、右下はもちろん、ピアノ演奏での「譜めくり」(奏者の左側で楽譜をめくる人)がボタンを押しやすいよう、左側にもボタンがついています。これは紙の楽譜よりも便利です。
正確にめくれるか(めくりすぎや、タップしてもめくれない等)はちょっとした操作ミスで起こり得るので△としました。
また、譜面台の上に3ページ分置いたり、切り貼りしてカスタマイズはできません。紙楽譜に比べると融通はききません。
というわけで、めくり勝負は紙楽譜の勝ち!
まとめ
軽さではタブレットの勝利、書き込みでは引き分け、めくりでは紙楽譜の勝利という結果になりました。1勝1敗1引き分けです。
個人的には練習時にはタブレットが便利です。しかし演奏会本番で使うとなるとタブレットはまだ怖いです。めくりのこともありますし、急に壊れたらどうしようという心配です。
まだまだ楽譜用タブレットはGVIDOが一強なところはありつつ、更に進歩したものも出てくるでしょう。臨時記号のつく音符に色を自動でつけてくれる……なんていうのも出てくるかもしれません。楽譜リーダーの進歩を楽しみにしています。